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【08.02.21】無謀な巨大横断道路計画を撤回せよ

国交相が再検討表明

 
衆院予算委員会で笠井議員追及
日本共産党の笠井亮議員は二十一日の衆院予算委員会で、道路特定財源をもとに採算を度外視した六横断道計画などが次々に進む実態を示し、「無謀な計画は撤回すべきだ」と政府に迫りました。野党席からは応援、与党席からは驚きの声が上がり、冬柴鉄三国交相は「今日の議論を踏まえ検討する」と答えざるをえませんでした。
笠井氏はまず、「全国一の大赤字路線」と言われる東京湾横断道路=アクアライン(総額一兆四千億円)の実態を告発 (図パネル/bt_20080222160040.pdf)。交通量は当初計画のわずか四割です。一九九七年開通以降、十年で三度も借金返済計画が作り直されています。
 「政治の責任は重大だ」と批判した笠井氏は、政府が東京湾に、さらに新しい道路建設計画(東京湾口道路)まで立てていることを示し、「成功する保障がどこにあるのか」とただしました。しかし、冬柴国交相は「(建設費が)いくらかかるか分からない」などと答弁しました。
 笠井氏は、政府が東京湾口道路だけでなく、全国に六カ所(図パネル/bt_20080222154507.pdfも海峡横断道路の新建設を計画し、今年三月に閣議決定しようとしていると暴露しました。
 「(計画は)調査の段階」などと弁明する冬柴国交相に対し、笠井氏が「調査はいくらで、どんな団体がやっているのか」とただすと、平井たくや国交副大臣は、調査費が七十七億円(28日の質疑で68億円と訂正)にのぼることを明らかにしましたが、「発注先を特定することは困難」と繰り返すだけ。
 笠井氏は「税金を使った調査が、どんな団体に渡っているかも言わないのはとんでもない」と批判。独自の調べで、国交省の天下りや大手ゼネコン役員が理事をつとめる財団法人「海洋架橋・橋梁調査会が調査を請け負っていることを明らかにして、「これでは自分たちがうまくもうかるよう調査をしていると言われても仕方ない」と、閣議決定をやめるよう求めました。
 冬柴国交相は「庶民の目で見ておかしいと思うものは、改革する」と述べ、年度末の閣議決定についても再検討を表明しました。
論戦ハイライト
“悪夢”の道路計画 誰のため調査だけで既に77億円(28日の質疑で68億円と訂正)
 日本共産党の笠井亮議員が衆院予算委員会集中審議(二十一日)でおこなった追及は、採算性を度外視し、業界と天下りのための道路建設計画を推進する無謀さと、道路特定財源の弊害をくっきりと浮き彫りにしました。その異常さには与党席からもヤジが飛び、政府も計画を再検討する考えを表明せざるをえませんでした。
失敗認める
 笠井氏が最初にとりあげたのは、全国一の大赤字路線といわれる「東京湾アクアライン」です。神奈川県川崎市と千葉県木更津市を結ぶ自動車専用の有料道路で、総額一兆四千四百億円を投じて建設されたものです。
 笠井 この道路は成功したと思うか。
 福田康夫首相 計画交通量と実績が大きく乖離(かいり)してしまった。この事態は、厳しく認識している。
 冬柴鉄三国交相 猛省しなければならない。
 笠井氏は「アクアライン」着工決定時の道路公団総裁まで「採算が取れないことは分かっていた」「政治決定が出た以上、(交通量など)虚偽の数字を出すため鉛筆をなめざるを得なかった」とマスメディアに述べていることも示し、「政治の責任は明らかだ」と指摘しました。
さらに6本
 にもかかわらず、東京湾には、このほか「第二アクアライン」と呼ばれる「東京湾口道路」をつくる計画まであります。
 笠井 この道路は、いくらかかると見積もっているのか。
 冬柴国交相 調査していない。
 笠井氏は「(『アクアライン』で)失敗しといて、調査もしていないとは、全くひどい話だ」と批判。与党席からも「(東京湾に)まだつくるのか」という驚きの声があがりました。
 湾の入り口や海峡などをつなぐ巨大な横断道路計画(海峡横断道路プロジェクト)は、ほかにもあります。
 平井たくや国交副大臣は、東京湾口道路をふくめ六つもの巨大横断道路計画(伊勢湾口道路、紀淡連絡道路、豊後伊予連絡道路、関門海峡道路、島原天草長島連絡道路)があることを認めました。
 笠井氏は、福田首相が、このプロジェクトを「夢のある話」と答弁していることを挙げ、「採算の保証なく、大赤字の前例しかない。無謀だ。『夢』というなら『悪夢』だ」と批判すると、議場がどっとわきました。
天下り団体
 「調査しているだけだ」と弁明する冬柴国交相。笠井氏は、費やした調査費の総額をただしました。
 しどろもどろになりながら平井副大臣は、約七十七億円(28日の質疑で68億円と訂正)を投じたことを認めました。
 しかし、笠井氏がどこが請け負っているのかをただすと、平井副大臣は「特定は困難だ」として明らかにしません。
 そこで笠井氏が突きつけたのは、財団法人「海洋架橋・橋梁調査会」の存在です。同団体のホームページには、調査を請け負ったことが記されています。重大なのは、同団体の役員の半数以上が国交省などの天下りOBで、大手ゼネコンの大成建設会長をはじめ、建設業界幹部も名前を連ねています。」(図パネル/bt_20080222153417.pdf
 笠井氏はたたみかけます。
 「発注元の国交省OBと受注先の業界団体が一体となって、自分たちが将来請け負う仕事がうまくもうかるように税金で調査をしていると言われても仕方がない。『アクアライン』の失敗が繰り返されることは明白だ」
 政府は、六大横断道路を含む無謀な道路計画を盛り込んだ「国土形成計画」を三月末までに閣議決定しようとしています。
 笠井 とんでもない。やめるべきだ。
 冬柴国交相 今日の議論等を踏まえて検討させていただく。
 笠井氏は、道路特定財源を湯水のように使い無謀な計画を進める政府のやり方を批判、道路特定財源の一般財源化と暫定税率の廃止を強く求めました。(しんぶん赤旗/2008年2月22日より)
その後の国会質疑の結果より
(2008年3月14日しんぶん赤旗より/PDFbt_20080314180506.pdf

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