投稿

【18.11.04】NHK日曜討論 笠井政策委員長の発言

 
 日本共産党の笠井亮政策委員長は4日のNHK「日曜討論」で、臨時国会で審議中の今年度補正予算案や外国人労働者受け入れ拡大のための出入国管理法改定案、来年10月からの消費税10%への増税について、各党政策責任者と議論しました。

臨時国会の審議―民意無視の政治ただす
 冒頭、元徴用工への賠償を日本企業に求めた韓国最高裁の判決について聞かれた自民党の岸田文雄政調会長は「ありえない判決であり遺憾だ」と述べました。また、衆院で全会一致で可決され参院に送付された今年度補正予算案や入管法改定案などについて「引き続き成立に努力したい」と述べました。
 公明党の石田祝稔政調会長は「補正予算案を一日も早く成立させたい」と述べるとともに、韓国最高裁の判決に関わって、日本が韓国に供与した5億ドルについて「日本国民の汗と涙の結晶だ。そこをわきまえてもらいたい」などと語りました。
 立憲民主党の長妻昭政調会長は、公文書改ざん問題などで衆院議長が声明を出したことに安倍首相は「どこ吹く風だ」と批判。国民民主党の泉健太政調会長は、沖縄県名護市辺野古の新基地建設強行などを挙げ、「国民後回しの政治だ」と述べました。
 笠井氏は、安倍政権が沖縄県知事選で示された辺野古新基地建設反対の民意を一顧だにせずに工事再開を強行し、国民が望んでもいない9条改憲に異常な執念を示していることを挙げ、「民意無視の政治の大破綻が明らかだ。市民と野党の力を合わせ、内政外交の根本をただす論戦をやっていきたい」と表明しました。
 また、元徴用工問題の韓国最高裁判決をめぐり、被害者個人の請求権は消滅していないと日本政府も繰り返し表明してきたと述べ、冷静に話し合うべきだと強調しました。

 *「徴用工問題の公正な解決を求める――韓国の最高裁判決について」2018年11月1日/日本共産党幹部会委員長・志位和夫

外国人労働者の受け入れ拡大―政府に白紙委任のずさん、権利守れ
 入管法改定案について、自民・岸田氏は「どの地域・分野でも人手不足が深刻だという声がある。外国人材を即戦力として受け入れることが重要だ」と述べました。
 笠井氏は「どの分野にどれくらいの外国人労働者を受け入れるかなど、重要事項を全て政府に白紙委任するずさんなものだ。法案の体を成していない」と指摘。日本はすでに約128万人が働く世界第4位の外国人労働者受け入れ大国だが、労働基準法や最低賃金すら守られず、技能実習生や留学生が安価な労働力として低賃金と過酷な労働を強いられ、人権侵害がまん延していると強調。「このままなし崩しに受け入れを拡大する法案には反対だ。徹底追及していく」と述べました。
 立民・長妻氏は「人手不足だから人を入れる。人余りになったら出て行ってくれと。こんな形で集中的・一時的に広げると問題が顕在化する」と述べ、「外国人を雇用の調整弁として使えば非正規雇用の失敗の二の舞いになる」と指摘。国民・泉氏も実習制度の是正が先だと述べ、受け入れ業種や人数が法案に明記されていないのは「国会軽視だ」と批判。両氏は、今国会で成立を強行することは「とんでもない」「ありえない」と口をそろえました。
 自民・岸田氏は、技能実習制度の問題を認めつつ、「技術移転・国際貢献が目的の実習制度と、今回の新制度は趣旨が違う」と弁明。公明・石田氏は、3年後の見直し規定が盛り込まれたことを評価し、「多文化共生社会」を目指すなどと語りました。
 笠井氏は、技能実習制度をめぐって、「人身売買・強制労働」だと国際的に大きな批判を浴びていることを指摘し、「この実態を放置して外国人労働者の人数だけ増やせば、日本の労働条件全体が悪化して賃金が下がり、権利も奪われ、不況を促進する。外国人労働者の権利を守ることが、日本の労働者の権利を守ることにもつながる」と語りました。
 さらに、「年金や社会保障制度、外国人労働者の子どもへの教育などの受け入れ基盤が整っていない」ことを挙げ、「劣悪な労働条件に耐えかねて実習現場を逃げ出したら容赦なく入管施設に強制収容しており、自死する方もいる」と指摘。「およそ『共生』の思想に逆行している。ここにメスを入れずして『多文化共生社会』は語れない。この法案で受け入れ拡大を来年4月から始めたら大変なことになる。徹底追及する」と主張しました。

消費税10%増税―消費冷え込ませ破滅的影響
 安倍首相が来年10月から実施するとした消費税10%の増税が議論となり、立民・長妻氏は、増税“対策”のポイント還元などについて「低所得者対策でなく、ばらまきではないか。逆進性対策にもなっていない」と批判しました。
 笠井氏は「8%への増税から4年半がたっても、実質家計消費は年25万円減と、消費不況が一時的どころか長期にわたって続いている。こんなときに5兆円もの消費税大増税を強行すれば、ますます消費が冷え込み、日本経済に破滅的な影響を及ぼす」と指摘。他方で、大企業には4兆円の大減税が行われているとして、「やることが逆さまだ。格差と貧困を拡大するだけだ」と批判しました。
 さらに、政府・与党が打ち出す“景気対策”について、「増税前の駆け込み需要と反動減をならすための一時的な対策にすぎない」と強調。「商品券にしても1回配るだけで、増税の方はずっと続く。8%増税時の教訓を生かすというなら、来年10月からの10%増税はきっぱり中止すべきだ」と表明し、「この一点で大いに力を合わせたい」と、野党の共闘を呼びかけました。
 公明・石田氏は、痛税感を減らすためとして「軽減税率」やプレミアム付き商品券などを強調しました。一方、国民・泉氏は「軽減税率」や商品券などの“対策”を「つぎはぎだ」と批判しまし。

 自民・岸田氏は「引き上げの目的を説明しながら景気への配慮を説明する」と増税を正当化し、“対策”には低所得者対策、痛税感の緩和などそれぞれ目的があると強弁しました。

「全世代型社会保障」―全世代で大削減の計画
 安倍晋三首相が消費税10%増税の口実とする「全世代型社会保障改革」が議論になりました。
 笠井氏は「社会保障のためだと言って8%増税を強行しながら、年金、医療、介護、生活保護をこの6年で5・6兆円も削減してきた。今度も、財政審では全世代にわたる大削減を計画している」と批判しました。
 また、「軽減税率」についても「『軽減』といっても8%に据え置くだけで、現行から1円も下がらない。その上に、事業者には負担になる。10%ありきのやりかたはやめるべきだ」と述べました。
 国民・泉氏は「全世代型という考え方は大事だ」としながら、介護士、保育士の処遇改善を要求。立民・長妻氏は、今後10年間の給付と負担のパターンを示して国民に選択してもらう時期が来ていると述べました。自民・岸田氏は「社会保障の持続可能性のためにも必要だ」と正当化しました。

【「しんぶん赤旗」2018年11月5日付】

アーカイブ
PAGE TOP