日本共産党の笠井亮政策委員長は28日のNHK「日曜討論」で、2018年度予算案や「働き方改革」の在り方、IR推進法(カジノ法)の対策などについて、各党の政策責任者と議論しました。
予算案/社会保障削減/軍拡でゆがみ
予算案の評価を問われた自民党の新藤義孝政務調査会長代理は、少子高齢化や北朝鮮の脅威など「国難を克服して新しい時代を切り開く第一歩」と述べ、公明党の石田祝稔政調会長は「国債費を下げ、社会保障と財政健全化に苦労した」と語りました。
笠井氏は「アベノミクスで“賃金が上がった″などと言っていること(と予算案)が違う」と指摘。「社会保障は6年間で1・6兆円の自然増を削るということになっている。年金は物価上昇でも賃金が下がったからといって据え置く。生活保護は低所得者の生活水準が下がったということで削っていく」と批判しました。
さらに笠井氏は、アメリカ言いなりの軍拡を批判し、「オスプレイだとかF35とか無人偵察機など高額兵器をアメリカの言い値で爆買いする。来年度で4800億円だ。こんなゆがんだ予算は、徹底審議をして社会保障と国民生活を守るために組み替えを要求していく」と述べました。
「働き方改革」/財界の要求で過労死合法化
安倍晋三首相が最重要課題とする「働き方改革」に対し、野党はそろって反対の意思を示しました。
立憲民主党の長妻昭政調会長は「残業の上限がない。青天井に働かせることができる働き方を拡大していく。裁量労働制を営業マンにまで拡大する。過労死のご遺族の会の方に『間違いなく過労死が増える』と言われた」と批判。民進党の足立信也政調会長も「過労死の認定基準にある単月100時間、複数月80時間、これを超えて働いていいという理屈はなりたたない」と述べました。
一方、自民・新藤氏は「時間の概念ではなく、成果や能力に応じた賃金体系にしていかなければならない」と語りました。
これに対し、笠井氏は「時間でなく成果だという話だが、成果を判断するのは会社だ。労働者は成果が上がるまで同じ賃金で際限なく働かされることになる。これは財界の要求であり、労働者は反対している」と反論。
残業時間の上限規制については「月100時間までOKとなる。過労死認定の半分以上は月100時間未満なのに、どうして過労死を無くすことができるのか。むしろ過労死の合法化法案ではないか。こんな重大な法案を国会に出すべきではない」と強調しました。
カジノ法/廃止法案の成立に全力
IR推進法(カジノ法)の整備とギャンブル依存症対策がテーマとなりました。
自民・新藤氏は、観光先進国を目指すなかで「カジノは採算性の確保しやすいもの」だと主張。公明・石田氏は「(IR推進法が)成立した以上、実効性のあるものにしていく」と同調しました。維新の会の浅田均政調会長は「新たな観光資源をつくろうということだ」と歓迎。希望の党の長島昭久政調会長も、ギャンブル依存症対策を前提に「日本型のIRには可能性がある」と前向きでした。
笠井氏は「カジノというモノを生み出さない賭博(とばく)で経済発展はありえないし、発想自体に品格がない」と厳しく批判。「狙っているのは国際カジノ資本で、地域振興には役立たない。ギャンブル依存症の対策は重要だが、対策というならカジノをつくらないことだ」と述べ、廃止法案の成立に全力を挙げると表明しました。
立民・長妻氏も「とんでもない話。カジノをやれば間違いなくギャンブル依存症が増える」と反対しました。
9条改憲/発議の阻止へ3000万署名全力
安倍首相が年内の改憲発議を狙うもと、憲法改定について議論が交わされました。
自民・新藤氏は「目安として3月25日の党大会に向けて党内の意見集約をしようと。私たちもそこへ向かって節目をつくる」と議論を急ぐ考えを表明。希望・長島氏は9条を含めて議論し、「自衛権の範囲を憲法に明記すべきだ」と主張しました。
一方、立民・長妻氏は、9条に自衛隊を書き込むと武力行使の範囲が広がる可能性があるとして「われわれとしては議論できない」と述べました。
笠井氏は、9条に自衛隊を書きこめばどうなるかについて、戦争法を強行したうえ、「専守防衛すら投げ捨てて、敵基地攻撃できる巡航ミサイルを持とうとか、F35戦闘機が発着できる空母を持とうと検討している。9条2項が死文化してしまうことになる。それは無制限に海外での武力行使を可能にするということだ」と指摘。改憲策動に対し「市民と野党の共闘、9条改憲反対の3000万署名で、発議阻止のために全力を挙げてたたかう」と表明しました。
自民・新藤氏は、改憲の狙いについて「戦争放棄ではなく安全保障の項目を設ける」ことだと明かしました。
沖縄新基地問題/松本氏の暴言、総理の責任重大
「予算審議にどう臨むか」と問われた笠井氏は、「沖縄では沖縄全土で米軍機が事故を繰り返している。あまりに異常だ。松本文明内閣府副大臣は『それで何人死んだんだ』とやじを飛ばして辞任したが、それではすまない。総理の責任は重大だ」と批判。さらに「事故機はいずれも普天間基地所属だ。そんな基地が沖縄にある限り、危険はなくならない。だから普天間の無条件撤去、辺野古の新基地建設はきっぱり中止。そして海兵隊の撤退。これを強く求めて論戦していく」と語りました。
【「しんぶん赤旗」2018年1月29日付】