日本共産党の笠井亮政策委員長は3日のNHK「日曜討論」で、森友・加計疑惑や「働き方」改悪法案、カジノ実施法案などについて、各党の政策責任者と議論しました。
■森友・加計疑惑/不起訴は不当だ/佐川氏再喚問を
森友・加計疑惑に関して野党側は、安倍昭恵首相夫人や加計学園の加計孝太郎理事長の国会招致や麻生太郎財務相の辞任を要求。自民党の田村憲久政調会長代理は「証人喚問は重いもの」「なかなか呼ぶものではない」と述べ、真相究明に後ろ向きの姿勢を見せました。
笠井氏は、森友学園との国有地取引の決裁文書を改ざん・廃棄した問題で佐川宣寿・前国税庁長官らが不起訴処分になったことについて「不当だ」と指摘したうえで「訴追のおそれがなくなったのであれば、佐川氏を再喚問し、(前回の証人喚問で)証言拒否したことを全部語らせるべきだ」と主張。森友・加計問題を長引かせているのは安倍首相だとし、「首相を守るために、ウソがばれて、ウソを上塗りし、次々に疑惑を広げている。何よりも首相自身が真実を語れば解決する。『ウソだらけの政治はもうやめよ』というのが国民の声だ」と述べました。
■「働き方」改悪法案/歴史逆行の悪法/廃案に追い込む
次に「働き方」改悪法案の時間外労働の「上限規制」が議論になり、自民・田村氏は「労働者の健康的な生活を守ろうということだ」などと語りました。
笠井氏は「上限規制」とは、月100時間未満という過労死ラインまでの残業を合法化するもので、過労死家族も反対する「過労死促進法案だ」と反論。改革と言うなら、残業の上限は月45時間・年360時間という大臣告示の法定化や、連続11時間の休息時間確保が必要だとして、「8時間働けば普通に暮らせる社会を目指すべきだ」と主張しました。
また、同法案に盛り込まれた「専門的知識」を持つ労働者の労働時間規制を適用除外する「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」についても、立憲民主党の長妻昭政調会長が「過労死を促進する危険な制度だ」と指摘。これに対して自民・田村氏は、対象となる労働者は「年収1075万円(以上)が基準で、労働契約を結ぶ交渉力のある方ということが前提だ」と述べました。国民民主党の階猛政調会長代行は、同制度の対象となる労働者の年収などが「省令を変えれば規制緩和できる。それが問題だ」と指摘しました。
笠井氏は、戦後初めて労働時間規制を適用しない労働者をつくりだすとして「歴史逆行の悪法だ」と批判。年収要件も、経団連は400万円以上の労働者から対象にするよう求めていることをあげて「いったん導入されたら引き下げは必至だ」と強調しました。
笠井氏は、国民多数が今国会での法案成立を求めておらず、ほとんどの野党が反対していることにふれて「世論と運動と連携し、参院では徹底審議して必ず廃案に追い込んでいきたい」と表明しました。
■カジノ実施法案/不幸で金もうけ/法案撤回求める
カジノ実施法案については、日本維新の会の浅田均政調会長が「日本を観光大国に進めるエンジンになる」と発言。与党も「観光立国ということも一つの成長戦略の柱」(公明党・石田祝稔政調会長)、「地方経済の振興に大きな意味がある」(自民・田村氏)などと語り、今国会で成立させる姿勢を示しました。
笠井氏は「そもそもカジノは刑法が禁じる賭博場。これを解禁して、人の不幸で金をもうけて『成長戦略』だとはとんでもない。退廃の極みで、政権がいかに堕落していることを示している」と強く批判しました。さらにカジノ推進勢力が「地域振興」を理由にあげていることについて、横浜や大阪では多くの地元住民が反対していることを突き付け、「地域振興に役立たない、本当の狙いは米国などの国際カジノ企業の利益にある」と指摘しました。
与党がカジノ推進の一方でギャンブル依存症対策を行うなどと述べていることについて笠井氏は「依存症対策と言うなら、カジノをつくらないことだ」と反論。カジノ実施法案について、世論調査では7割が「今国会で成立させる必要はない」と答えていることを紹介し、法案の撤回を求めました。
■米朝首脳会談/北東アジア平和、促進する先頭に
最後に、12日に予定されている米朝首脳会談について議論になりました。
笠井氏は、この間の南北首脳会談や米朝首脳会談にむけた動きなど対話による平和的解決の動きを歓迎し「この道以外にないといよいよはっきりしている」と発言。朝鮮半島の非核化と北東アジア地域の平和体制の構築を一体的・段階的に進めていくことがカギだと強調し、憲法9条を持つ日本は、北東アジアの平和を促進する先頭に立つべきだと主張しました。
自民・田村氏は、米トランプ大統領が、北朝鮮に対して「『最大限の圧力』という用語はもう使いたくない」と語ったという報道に関して「仮に(トランプ大統領が)言ったとしても、わが国は最大限の圧力をかけていく」などと語りました。
【「しんぶん赤旗」2018/6/4付】