米国を除く11カ国による環太平洋連携協定(TPP11)の締結に伴う法整備を目的とする関連法改定案(TPP関連法案)が、8日の衆院本会議で審議入りしました。日本共産党の笠井亮議員は、TPP11と米国が狙う日米2国間交渉が日本経済と国民生活に大打撃を与えるとして、きっぱりやめるべきだと安倍晋三首相に迫りました。
笠井氏は、4月の日米首脳会談で安倍首相が求めた米国のTPP復帰をトランプ米大統領が否定し、日米間の「新しい合意」を「模索していく」と表明したことに言及。鉄鋼、アルミニウムの一方的な輸入制限を行っている米国の求めに応じて新たな貿易・通商協議機関設置に合意したのは「極めて重大だ」として、米国からTPPより「高いハードル」を示されただけで、「身勝手な対日要求の受け皿とされるのでは」と追及しました。
また、新たな日米交渉では、「現状の関税率では農業の優先順位は高い」とのハガティ米駐日大使の発言を示し、乳製品や牛肉の関税削減などを含め、米国がどのような要求を突きつけようとしているのかとただしました。
その上で、関税・非関税措置撤廃を国際約束したTPPこそTPP11の「出発点」であり、米国からTPP11を基に譲歩を迫られ、TPP11加盟国からはは再交渉条項でさらなる措置を求められる危険性を指摘しました。
安倍首相は、米政権が目指す「新しい合意」について「コメントは差し控えたい」と答弁を避けました。国益に反する合意はしないと言いつつ、農業分野での関税削減などの米側の狙いも一切明らかにせず、日米交渉に不安を抱える生産者にも背を向けました。
【「しんぶん赤旗」2018/5/9付】