笠井議員 拉致被害者ら再調査で提起
日本共産党の笠井亮議員は17日の衆院拉致問題特別委員会で、先の日朝協議で北朝鮮側が合意した拉致被害者を含む全ての日本人に関する「特別調査委員会」のあり方について質問しました。
外務省の伊原純一アジア大洋州局長は「これまで北朝鮮が実施した調査は、(北朝鮮側から)特殊機関が関わったもので、調査が難しいという言い訳があった」と述べ、「今回、より実効性がある実質的な調査を実現するには、全ての機関を対象とした調査を行うことができる特別な権限がなければならない」と答えました。
笠井氏は、今後の日朝交渉に当たっては「特別調査委員会が北朝鮮の特殊機関の存在に左右されず、真相を追求できる力をもったものになるよう、北朝鮮側に強く求めていく必要がある」と強調。岸信夫外務副大臣は「(特別調査委員会が)特殊機関にも調査の手が及ぶものであるかどうかきっちり確かめた上で(調査を)スタートする」と答えました。
笠井氏は、今後の日朝交渉では、日朝平壌宣言(2002年)に基づき、日朝間の諸懸案の包括的解決をめざす努力と同時に「6カ国協議共同声明(05年9月)で確認された、一方が前向きの行動をすれば他方も前向きな行動で応える『約束対約束、行動対行動』の原則に従い、事態の前向きな打開に努めることが大切だ」と指摘しました。伊原局長は「基本的にそういう慎重で着実なやり方で進めることが重要だ」と答弁しました。
拉致問題で日朝協議/「特殊機関」にメスを
政府は18日、日本人拉致被害者らの再調査に向け北朝鮮が設置する「特別調査委員会」の組織や構成、責任者について説明を受ける日朝の外務省局長級会議を開くことを明らかにしました。
5月下旬に行われた日朝協議では、北朝鮮が日本人拉致被害者らの再調査を包括的・全面的に実施することで合意。この中で、北朝鮮側に、「特別の権限」(すべての機関を対象とした調査を行うことができる権限)が付与された特別調査委員会を設置することが盛り込まれました。
外務省の伊原純一アジア大洋州局長は日本共産党の笠井亮議員の質問(17日、衆院拉致問題特別委)に、「これまで北朝鮮が実施してきた調査は、(北朝鮮側から)特殊機関が関わったもので、調査が難しいという言い訳があった」と答え、「より実効性がある実質的な調査を実現するには、すべての機関を対象とした調査を行うことができる特別な権限がなければならない」と強調しました。
13日の参院拉致問題特別委員会では、日本共産党の山下芳生書記局長が2004年の北朝鮮側の調査結果の経過をただすと、岸田文雄外相は「(その経過も踏まえ)特殊機関も含めたすべての機関を対象とした調査を行う権限が付与された特別委員会を立ち上げるにいたった」と答えました。
真相解明にむけ、北朝鮮側の交渉当事者と調査責任者を「拉致問題の全容を知り、問題解決に責任を負うことができ、その権限をもった人物とすること」とする日本共産党の提唱に、岸田氏も「ご指摘の点は大変重要だ」と答えました。
問題解決に向け、拉致という国際犯罪を行い、真相解明の障害となってきた北朝鮮の「特殊機関」に「特別調査委員会」が調査のメスを入れられるかどうかが焦点です。衆参両院の質疑で、この問題を正面から指摘したのが日本共産党でした。
日本共産党は、北朝鮮の「特殊機関」が拉致問題の真相解明の障害になっていることを一貫して指摘。真相解明に向けて、「正面からメスを入れられる相手との強力な交渉」を政府に提唱してきました。
04年の日朝協議の際に、北朝鮮から提供された拉致被害者・横田めぐみさん、松木薫さんとされる「遺骨」が別人のものであったことが公式に確認された事態がありました。
当時、日本共産党の緒方靖夫議員の参院拉致問題特別委員会での質問に、政府の交渉当事者だった藪中三十二外務省アジア大洋州局長は、北朝鮮の特殊機関が「真実の追究に大きな壁になっている」と明言しました。これを受け、日本共産党の志位和夫委員長は、日朝両国政府間の協議で、拉致問題に十分な責任を負い権限を持つ人物を交渉の場につけることを北朝鮮政府に要求するように小泉純一郎首相に要請しました。
それから10年、こうした提起が日朝政府間協議に実ろうとしています。
菅義偉官房長官は18日の記者会見で、日本政府が重視する点として、「日本側の要望を踏まえて、すべての機関を対象とする調査のできる特別権限を有する調査委員会を立ち上げることになったわけであり、どういう陣容になるのかが一番重視するところだ」と述べています。