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【14.02.13】戦後の国際秩序に挑戦/靖国参拝は国益損なう

侵略美化のリーダー 世界のどこにいるか

 
 日本共産党の笠井亮議員は12日の衆院予算委員会で、深刻な国際問題となっている安倍晋三首相の靖国神社参拝について質問し、日本の過去の侵略戦争を「自存自衛」と美化する歴史観は靖国神社そのものの立場であり、首相の参拝は戦後の日本の出発点を否定し国際秩序へ挑戦するものだと厳しく批判しました。

 笠井氏は、靖国神社併設の展示施設「遊就館」発行のパンフレットが日本の侵略戦争について「わが国の自存自衛のため、自由で平等な世界を達成するため、避け得なかった」と正当化していることを指摘。安倍首相は「遊就館と靖国神社は別だ。私が参ったのはあくまで靖国神社だ」と正当化しました。

 笠井氏は、同神社の祭祀責任者である宮司(ぐうじ)がパンフレットと同様の説明を遊就館の新館開館式で行っている事実を突きつけ、「この主張は(遊就館だけでなく)靖国神社そのものだ」と強調しました。

 さらに笠井氏は、神社社務所が作成した外国人向けリーフレット(英語・中国語・韓国語)が日本の戦争犯罪を裁いた東京裁判について、「連合軍の裁判によって一方的に“戦争犯罪人”とせられ…」と解説していることを紹介。戦争指導者として裁かれたA級戦犯をも神としてまつり、東京裁判を認めていないのが靖国神社の立場だと強調しました。安倍首相はリーフレットについて「私がコメントするのは適切ではない」などと逃げの答弁を繰り返しました。

 笠井氏は、戦後秩序が日独伊の侵略戦争を断罪することを共通の土台とし、日本もポツダム宣言と東京裁判を受諾して国際社会に復帰したことに言及。「日本の首相が靖国神社の主張を間違っているともいえずに参拝することは、今日の国際秩序への挑戦だ。国際社会の信頼、近隣諸国との友好という国益を大きく損なう靖国参拝はやめるべきだ」とつよく求めました。

笠井 靖国 大戦を“自存自衛”
首相は神社の立場の誤り認めず

 靖国神社は、どういう立場・主張を国内外に発信しているのか―。笠井氏がまず示したのは、靖国神社の敷地内に建つ軍事博物館「遊就館」のパンフレットの記述です。日本の過去の侵略戦争を肯定・美化し、宣伝する特異な歴史観・立場を貫いています。

 笠井 靖国神社はあの大戦を「自存自衛」「避け得なかった戦い」と主張し、それに殉じた「英霊」をたたえる施設だ。

 首相 宗教法人の考え、歴史観にコメントすべきではない。(参拝で)「不戦の誓い」をした。

 中国、アジア諸国への領土拡張と植民地支配をめざした日本の侵略戦争を「正義の戦争」だと考えているのか、間違っていたのか―。歴史認識を問いただす笠井氏にたいして、首相は「歴史観は歴史家にまかせるべきだ」とはぐらかすだけ。靖国神社の主張が「間違っている」と絶対に認めようとしません。

 第2次世界大戦が終わってほぼ70年。日本、ドイツ、イタリアの戦争はいかなる大義も持たない侵略戦争であって、「繰り返してはいけない」というのが戦後の国際秩序の土台です。それは、植民地支配と侵略に反省とおわびをのべた「村山談話」(1995年)にみられるように、政府見解の到達点です。

 笠井 首相の参拝は戦後の政府見解を崩し、侵略戦争を肯定・美化する立場に身を置くことを世界に宣言することになる。そういう認識はあるか。

 首相 そういう認識はない。政治の場では、歴史に謙虚でないといけない。

 笠井 「正しい戦争だった」という靖国神社に「間違っている」と言わずに参拝するのは「謙虚」ではない証拠だ。靖国神社は「不戦の誓い」に最もふさわしくない場所だ。政府の公式の立場と正反対の主張をするところに、「国のリーダー」が参拝するから国内外から批判されるのだ。

笠井 A級戦犯も「殉難者」に
首相 コメントは適切ではない

 「国際社会の信頼と、近隣諸国との友好を損なった自覚はあるのか」―。笠井氏は、靖国神社が作成した外国人向けリーフレットが東京裁判を「連合軍(アメリカ、イギリス、オランダ、中国など)の、形ばかりの裁判」と表記したうえで、A級戦犯を「一方的に“戦争犯罪人”とせられ、むざんにも生命をたたれた千数十人の方々」の中に含め「昭和殉難者」と呼んで、「神」としてまつっていることを示し、こう追及しました。

 笠井 リーフレットは英語、中国語、韓国語に訳されている。(これらの国々の人々が読んだら)どう受け止めると思うか。

 首相 私がコメントするのは適切ではない。世界のすべての戦没者の霊をやすめる鎮霊社にもお参りした。

 笠井氏は、首相のあげた鎮霊社が誰をまつっているのか不明で、1978年までA級戦犯がまつられていたとの指摘もあるとして、「このような場所で手を合わせたからといって、靖国神社を参拝した事実が消えるわけではない」と批判。東京裁判には、いろいろな問題点があったが、侵略戦争と断罪したこと、その責任を持つ人々について個々にも罪を明らかにしたことは正しかったとして、日本もこれを受け入れて国際社会に復帰したと指摘しました。

 笠井 東京裁判でA級戦犯が裁かれたことは当然だと考えるか。それとも、不当で「神としてまつる」ことは当然だと考えるか。

 首相 被告人が、裁判で有罪判決を受けたのは事実。そのジャッジメント(判決)を受け入れた。

 笠井氏は、東京裁判とともにポツダム宣言を受け入れ、サンフランシスコ条約を結び、国連に加盟し、国際社会に復帰したのが“戦後の出発点”だと強調。戦争中は、国民を不正不義の侵略戦争に動員し、戦後は、その侵略戦争を正しかったと肯定・美化する施設に参拝するリーダーが「世界のどこにいるか」とただしました。

 「靖国参拝はやめるべきだ」と正面から迫った笠井氏は、「戦争の現実を直視し、真摯な反省をしてこそ、国際社会の信頼、近隣諸国との友好、本当の意味での戦没者の追悼にもなる」と強調しました。

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