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【14.02.13】原発避難計画策定43%/要援護者は対象外

原発避難 救うべき命 除外するな

 
 笠井亮議員は12日の衆院予算委員会で、原発事故時の避難経路・手段を定める避難計画を策定した周辺自治体が対象135のうち58市町村(43%、1月末時点)にとどまっており、高齢者や身体障害者など自力での避難が困難な要援護者が策定の対象外になっていることを批判しました。

 安倍晋三首相は「要援護者の避難体制については各自治体の取り組みを支援しているところだ」と述べ、自治体任せの姿勢に終始。笠井氏は「救うべき命を最初から策定の対象にさえせず、なぜ安全確保か。原発再稼働はきっぱりやめるべきだ」と迫りました。

 笠井氏は、原発事故が起きた際の「避難計画」が各地で策定不能に陥っている実態を示し、「住民の安全を確保する計画ができもしないのに、よくも再稼働を口にできたものだ」と批判しました。

 笠井氏は、電力各社が原発過酷事故の進行について、事故発生20分前後に「メルトダウン開始」、1時間半前後に「格納容器からの放射能漏えい開始」としたシミュレーション結果を示し、「事故は急速に進展する」と指摘しました。

 笠井 短時間に住民を被ばくさせず安全に避難を完了させることができるのか。

 首相 困難をともなうので、しっかり避難計画を策定していくことが重要だ。

 笠井氏は、鹿児島県の九州電力川内原発地域で昨年秋に国が中心となって行った「原子力総合防災訓練」の実態を、訓練参加者の証言をもとに告発。原発5キロ圏内の高齢者福祉施設では▽第1報の電話連絡が来なかった▽歩行困難者を運ぶ救急車もそろわず第1陣の出発は防災無線で避難指示が出た70分後だった―との事実を示し、「受け入れ先が未定で避難計画づくりのメドがたたない」との事業者の声を紹介しました。石原伸晃原子力防災担当相は、「報告は受け、問題があったのは事実。こういうことが分かり、ある意味成果だった」「地域防災体制の強化に、これで完璧、これで終わりということはない」などと問題を認めました。

 笠井氏は、避難計画の策定状況をまとめた政府の資料を提示。策定対象となる135自治体のうち「策定済み」は1月末時点で58自治体、43%にとどまり、東通、女川、柏崎刈羽などでは計画が全くできていないと指摘。さらに集計が一般住民の避難計画だけを対象としており、入院患者などの要援護者の避難計画は一つもないと批判しました。

 笠井 福島原発事故の避難で、双葉病院(福島県大熊町)で40人の命が奪われた痛苦の教訓こそ生かさなければならない。要援護者を除外し、最初から救うべき命を対象にせず、策定済みなどという。このことをどう思うのか。

 首相 計画としてはしっかりすすめている。要援護者の避難は力を入れ、さらに改善していく。

 笠井氏は質問の最後に、川内原発から15キロの自宅で療養中の身体障害者からメールで寄せられた「一人では避難もできない。私のところには一回も(避難計画の)調査に来ていない」との声を紹介。「安倍首相は原子力規制委員会の審査さえ通れば再稼働とするというが、その規制基準はそもそも避難計画の策定を必要条件としていない」と指摘し、「きっぱり再稼働をやめると決断すべきだ」と求めました。

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