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【12.08.23】衆院予算委 尖閣・竹島問題、理尽くし冷静な外交交渉を

首相「指摘の通り」

 
 8月23日の衆院予算委員会で、尖閣諸島と竹島をめぐる領土問題の解決について、日中、日韓両国の緊張を激化させる言動をいずれの政府も慎み、「歴史的事実と国際的道理を踏まえた冷静な外交交渉を行うこと」が必要だと強調しました。野田佳彦首相は、「指摘の通り、冷静さを保ちながら議論しなければならない」と答えました。 

 笠井氏は「尖閣諸島の領有は歴史的にも国際法上も正当」とする日本共産党の立場を改めて表明。政府が領有の正当性について、中国側と踏み込んだ議論を交わし、理を尽くして説いてきたのかとただしました。

 玄葉光一郎外相は「領有権の問題は存在しない立場だ。われわれからこのことを説明しない方がいい」と答弁。これに対し笠井氏は「理を尽くして主張する冷静な外交努力を怠ってきたことが、今回のような事態が繰り返される根本にある」と指摘し、「今こそ、日本の領有の正当性について理を尽くして説く本格的な外交努力が必要だ」と述べました。

 野田首相は「状況によってはさらに時間をかけて理を尽くすということも必要だ」と応じました。

 竹島問題について笠井氏は、領有を日本が主張することには歴史的根拠があるとする日本共産党の見解を紹介。その上で、韓国側が領土問題の存在を認めないもとで、「冷静に話し合うための外交的土台を築く必要がある」と強調しました。

 玄葉氏が「そう簡単なことではない」と答えたのに対し笠井氏は「日本政府が一貫して韓国併合、植民地支配にたいする真摯(しんし)な反省をしてこなかった問題がある」と強調。「植民地支配そのものへの真剣な反省を土台にしてこそ、冷静な話し合いの解決の道が開ける」と述べました。

 野田首相は「(韓国が国際司法裁判所への提訴を)堂々と受けるべきだ」と答弁。笠井氏は「反省すべきはきちんと反省し、歴史的事実と国際的道理に立ち話し合いに臨むべきだ」と強調しました。

◆審議録(.pdf

論戦ハイライト

尖 閣
外交努力をいまこそ 笠井
理を尽くすこと必要 首相

 笠井氏は、尖閣諸島の日本領有は歴史的にも国際法上も正当だとのべ、(1)無人島だった尖閣諸島を、1895年1月14日の閣議決定で日本領に編入した(2)国際法にもとづく「先占」による取得と実効支配であり、侵略戦争で日本が奪ったものではない(3)中国側は1895年から1970年までの75年間、一度も異議や抗議を行わなかった―ことを挙げ、歴史的、国際法上の根拠を示しました。

 笠井 中国側は、尖閣の領有を主張しているが、その主張は成り立たない。

 玄葉光一郎外相 その通りだ。

 笠井 日本の領有と実効支配は正当だということだ。

 野田佳彦首相 ご指摘の通り。

 笠井氏は、日本共産党の質問に菅直人首相(当時)が、「正しい理解が得られるよう今後とも努力する」と答弁したことに言及。それから30回以上も日中間の首脳会談・懇談などが行われたことを指摘しました。

 笠井 (歴史的、国際法上の根拠など)尖閣問題で突っ込んだやりとりを行ってきたのか。

 外相 領有権の問題は存在しないという立場だ。われわれからこのことを説明しない方がいい。

 笠井氏は、「そうやって歴史上、国際法上の正当性を、国際社会、中国社会に理を尽くして主張する冷静な外交努力を怠ってきたことが、今回のような事態が繰り返される根本にある」と指摘しました。

 笠井 尖閣諸島の領有の正当性について理を尽くして説く本格的な外交努力が今こそ必要だ。

 首相 「領有権の問題は存在しない」ということで、理を尽くして議論するところが思考停止になってはいけない。私も首脳会談の時に私どもの立場を伝えた上に、もう少し理を尽くして議論を突っ込んでもよかったかもしれない。状況によってはさらに時間をかけて理を尽くすということも必要だ。

竹 島
議論の外交的土台を 笠井
簡単にはできぬ状況 外相

 竹島問題をめぐって、笠井氏は、日本が竹島の領有を主張することには歴史的根拠があるとしている日本共産党の1977年の見解に言及したうえで、「日韓の間に冷静に話し合うための外交的土台を築く必要がある」と述べ、こうただしました。

 笠井 なぜ、話し合いの場ができないと考えているのか。

 外相 言うはやすし、行うは難しだ。簡単に論争できる状況ではない。

 笠井 話し合いの場が作られないのはさまざまな問題があるが、日本側の問題として植民地支配に対する真摯(しんし)な反省をしてこなかった問題を真剣に考えるべきだ。

 笠井氏は、竹島の日本編入が行われた1905年は日本が韓国を植民地化する過程であり、韓国の外交権が奪われていたことを指摘。「日本政府として、その事実は認めて韓国側の主張もしっかり検討する必要があるのではないか」と強調しました。玄葉外相は「05年の編入は領有権の再確認で、17世紀の半ばまでに日本の領有権はすでに確立していた」と述べました。

 笠井氏は、韓国国民のほとんどが戦前の日本による植民地支配の最初が竹島だったと思っていると述べ、こう迫りました。

 笠井 歴史への反省抜きには話し合いの入り口にもいかない。

 外相 だからこそ、国際司法裁判所への提訴を提案している。

 笠井 提案しても、肝心の韓国が話し合いの場に出ないと解決にはならない。

 首相 外交当局同士の議論はやらなければいけないが(韓国側に)自信があるなら堂々と(提訴を)受けるべきだ。

 笠井氏は「反省すべきは反省し、歴史的事実と国際的道理に立った話し合いで領土問題の解決に臨むべきだ」と強調しました。 
           (「しんぶん赤旗」2012年8月24日付より)

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