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【09.11.04】労働者の「使い捨て労働」許すな 予算委員会で追及

鳩山首相=「企業に申し入れる」と答弁

 
 日本共産党の笠井亮議員は4日、衆院予算委員会で基本的質疑に立ち、トヨタや日産などが、エコカーの生産増などを理由に、かつて首切りした期間工を、再度非正規労働者として雇おうとしていることを批判し、政府の見解をただしました。鳩山由紀夫首相は、「(正社員的な雇用を促すため)企業、経済界、労働組合等に申し入れたい」と答弁しました。
 笠井氏はいらなくなったら放り出し、生産が増えたら「経験・技能」を生かしてほしいというトヨタの態度を、「こんな理不尽をいつまでも繰り返させていいのか」と批判。フランスでは大統領や雇用担当相が自動車大手、ルノーのリストラ計画を厳しく批判し、雇用を守るために積極的に行動したことを示し、「日本でも毅然(きぜん)とした対応をすべきだ」と迫ると、鳩山首相は「そのように頑張りたい」と答弁しました。
 笠井氏は「国会としても『非正規切り』、新しい期間工のむやみな解雇を許さず、雇用を守りぬく上で役割を果たす必要がある」と提起。自動車関連各社の代表、同業界団体代表、電機産業代表などを予算委員会に参考人招致するよう求めました。
一方、雇用の緊急対策として、笠井氏は全国延長給付の発動や、雇用促進住宅廃止の閣議決定の撤回などを提起しましたが、長妻昭厚労相は全国延長給付については「慎重な判断が必要」とし、雇用促進住宅についても「廃止は10年以上先」などと述べて、いずれも消極的な姿勢を示しました。笠井氏は、雇用問題の根本的解決策として、有期雇用の規制、労働者派遣法の抜本改正を強く求めました。
◆論戦ハイライト
緊急措置と抜本策を   雇用問題  「全国延長給付」発動急げ
 「失業者をホームレスにしない。この政治の責任は重大だ」。日本共産党の笠井亮議員は4日、衆院予算委員会でこう力説しました。
 いま、全国から深夜バスで集まった求職者など、新宿西口のハローワークには連日4千人が殺到。社会福祉事務所にもその日の宿泊先を求めて大勢が順番待ちをしています。
 笠井氏は自ら聞き取ったこうした実態を示しながら、「名古屋でも『11月に失業給付が切れる』という人に何人も会った」「政府の緊急雇用対策で救えるのか」と述べ、従来の延長線上ではない緊急措置を迫りました。
 その一つが失業給付の延長、なかでも、雇用保険法第27条にもとづく失業給付の「全国延長給付」です。
 笠井 こうやって1日過ぎるたびに失業給付が切れている。直ちに発動すべきだ。
 長妻昭厚生労働相 限られた財源の中で慎重な判断が必要だ。
 笠井 「財源が大変」というが一番大変なのは失業者だ。(失業給付の)積立金には今年度4兆8千億円が残る。まずやるべきだ。
笠井氏は、日本は主な先進国と比べても失業給付を受けていない人の比率が高いことをパネル(グラフ/PDFbt_20091127172017.pdfで示し、「緊急延長が直ちに必要だ」と重ねて主張しました。
 さらに、失業給付を受けていない人を救うという点で、使い勝手の悪い「訓練・生活支援給付金」の改善と拡充も要求。失業者の住まいの確保をめぐっては、雇用促進住宅を積極的に活用するために同住宅を2021年までに全廃する旧政権の閣議決定の撤回を迫りました。
 ところが厚労相は、雇用促進住宅について「天下り団体の利権的要素もあり、必要性の低い部分まで拡大してしまった。廃止決定は変えない」などと答弁。現行の部分的・緊急的な活用にとどめる方針を表明しました。
 笠井氏は、舛添要一前厚労相でさえ、閣議決定の見直しも含めて検討していたことを指摘し、「あるものを活用すべきだ」と強く求めました。
 その上で「こうした緊急措置はどれも法改正の必要ない、政府の決断次第でできることだ」と強調しました。
「非正規切り」やめさせよ
 雇用対策では、大企業によるこれ以上の「非正規切り」をやめさせることも待ったなしの課題です。
 笠井氏は、「エコカー減税」による増産などによって自動車大手などで広がる再募集では、またしても「非正規切り」を前提にしていることを厳しく告発。トヨタの違法な“契約期間隠し”などもあげて首相に迫りました。
 笠井 労働者を、いらなくなったら放り出し、生産が増えたらぜひという。そしてまた放り出す。こんなご都合主義、理不尽を繰り返させていいのか。
 首相 景気が少しでもよくなると期間工を雇い、おかしくなったらすぐに切る、いつまでも正社員になれない。これは私も悲劇だと思う。企業、経済界、労組に申し入れたい。
 笠井氏は「人員が必要なら正社員こそ増やすべきだ」との労働者の声を代弁しながら、「エコカー減税というがもともとは国民の税金だ。国民の血税で増産してもうけておきながら、『非正規切り』を繰り返す。こんなことが許せるか」と強調。フランスでは大統領がリストラをやめさせるためにルノーに乗り込んだことも紹介しながら政府の姿勢をただすと、首相も「そのように頑張りたい」と述べました。
 笠井氏は最後に、「人間らしく働けるルール」をつくる抜本的取り組みを進める必要があると強調。有期雇用の規制と、労働者派遣法の抜本改正を急ぐべきだと力説しました。
 全国延長給付 失業手当(=失業給付の基本手当)の全国的な延長制度です。失業の状況が全国的に著しく悪化し、一定の基準にいたった場合、発動することができます。発動の基準や、延長される日数は政令で定められており、法律を変えなくても、閣議決定で政令を改正すれば実施できます。(しんぶん赤旗/2009年11月5日より)
◆会議録(PDF/bt_20091204094158.pdf

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