防衛省内部文書示す
陸上自衛隊がPKO(国連平和維持活動)部隊を派兵している南スーダンの首都ジュバで情勢が悪化したことを受け、市街地や屋内での戦闘を想定した「至近距離射撃訓練」の実施を検討していることが、日本共産党の笠井亮議員が3日の衆院予算委員会で示した防衛省提出の内部文書で分かりました。
至近距離射撃は、隊員の身体に危害がおよぶばかりでなく、瞬時に敵味方を判断する必要があるため、民間人殺傷にもつながりかねないものです。安保法制=戦争法に基づく「駆け付け警護」や「宿営地共同防護」といったPKO任務の拡大で、こうした派遣準備訓練が行われている可能性があります。
笠井氏が示したのは陸上自衛隊研究本部が2014年に作成した「教訓要報」(計180ページ)。13年末に南スーダンの大統領派・副大統領派の武力衝突で内戦状態になり、自衛隊宿営地周辺でも激しい戦闘が行われたことを受け、陸自トップの幕僚長に報告されたものです。
内部文書は、「宿営地周辺情勢悪化のため、全隊員に武器・弾薬を搬出・携行させた例」があることから、「全隊員による個人携行火器の実弾射撃(至近距離射撃)実施」を強調。さらに、「当該射撃が必要となる事態発生の可能性は否定できない」として、「車上」「夜間」「遮蔽」などの各種射撃訓練が提案されています。
また、笠井氏は、南スーダン情勢について、「緊急撤収計画」が決裁された13年当時と比べ、今年7月には大規模戦闘が発生するなど、いっそう危険になっていると指摘。それにもかかわらず自衛隊に新任務が与えられ、武器使用が認められれば「政府軍や反政府武装勢力との戦闘も想定され、自衛隊員が誤って避難民など民間人を撃ち、報復攻撃を受け、隊員自身の生命に危害が及ぶことが現実に起こり得る」と強調。「戦後71年、1人の戦死者も出さず、1人の外国人も殺さなかった戦後史に重大な汚点を残してはならない」として、南スーダンからの自衛隊撤退を求めました。【詳報】
豊洲問題 国の責任問う
築地市場(東京都中央区)の移転先とされている豊洲新市場(同江東区)の建物下で土壌汚染対策の盛り土が行われていなかった問題で、日本共産党の笠井亮議員は3日の衆院予算委員会で、国の権限をめぐって政府をただしました。中央卸売市場の位置を築地から豊洲へ変更するには農水相の認可が必要で、認可は国が定める中央卸売市場整備計画への適合などが要件となっています。
笠井氏は、整備計画に豊洲移転を盛り込む際に開かれた審議会で、盛り土を行うとの偽りの説明がされたことを挙げ、「審議会の答申の前提が崩れている。審議をやり直すのが筋だ」と迫りました。さらに笠井氏は、「移転が国の整備計画に盛り込まれ、都はそれを後ろ盾に計画を進めてきた。国の責任が問われる」と述べ、豊洲への移転を「整備計画から外すべきだ」と求めました。
山本有二農水相は「都が国の審議会に提供した資料に間違いがあったことは遺憾だ」と答弁。「審議会の対象から外すかどうかも含めて厳正に検討したい」と述べました。【詳報】