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【14.07.14】 「戦闘現場」での自衛隊活動/安倍首相「可能性ある」

予算委・笠井氏批判/殺し殺される危険

 
 衆院予算委員会で14日、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」強行後、初めてとなる集中審議が行われました。日本共産党の笠井亮議員は、「閣議決定」がこれまで自衛隊が行かないとしてきた「戦闘地域」への派兵を可能にし、“殺し殺される”海外での戦闘参加に道を開くと追及。安倍晋三首相は「そこ(=自衛隊の活動場所)が戦闘行為の現場になる可能性はある」と述べ、「戦闘現場」で自衛隊が活動する可能性を初めて認めました。

 「戦闘現場」とは「閣議決定」によれば、「現に戦闘行為を行っている現場」を意味し、銃撃など交戦が展開している地点。首相はこれまで一貫して「かつての湾岸戦争やイラク戦争での武力行使を『目的とした』戦闘に参加するようなことはない」と繰り返してきましたが、自衛隊が「戦場」に居合わせて“巻き込まれる”可能性を事実上認めました。

 笠井氏は、イラク戦争で航空自衛隊(空自)が2004年から実施した空輸活動について、「戦闘地域に行かない」との歯止めの下においても、実際は戦場に向かう武装米兵の輸送を中心とする、攻撃の危険にさらされながらの戦闘支援だったことを指摘。自衛隊の活動場所が「戦闘現場」になる場合には「活動を休止または中断する」と「閣議決定」が明記していることをあげ、「戦闘現場に居合わせることを最初から想定したものだ」と追及しました。

 首相は「戦闘が行われれば、中止・中断して引き揚げる」と答弁。笠井氏は「攻撃を受ければ応戦となり、簡単に引き揚げられるかどうかも問題だ」と強調しました。小野寺五典防衛相は「(戦闘発生で)任務ができなくなれば、状況にあわせて対応を取る。(笠井氏の指摘する)さまざまな想定は考えすぎではないか」などと問題を矮小化しました。

 笠井氏は、憲法9条の下で「できない」としてきた海外での武力行使を、時の政権の判断で「できる」ことに変えるのが今回の「閣議決定」であり、実際に戦争で血を流すのは若者だと主張。「『海外で戦争する国』への大転換を、一内閣の憲法解釈で強行することは断じて許されない」と「閣議決定」の撤回を求めました。

《戦闘地域と戦闘現場》 これまで政府はアフガン・イラク戦争での海外派兵にあたって、戦闘発生の可能性がある「戦闘地域に行かない」という歯止めを法律で明記。「閣議決定」はこの歯止めを撤廃し、「戦闘現場では活動しない」と変更することで自衛隊の活動範囲の拡大を図ろうとしています。

自衛隊が戦闘参加の危険/「戦争する国」への大転換許されない

 
 「憲法9条で『できない』としてきたことを『できる』とし、自衛隊が『殺し殺される』戦争で血を流すことになる」―笠井亮議員は14日の衆院予算委員会で、集団的自衛権行使容認の「閣議決定」が自衛隊の戦地派兵を招くことを告発するとともに、米軍とともに空爆まで行う可能性があることも追及しました。

■笠井:「決定」は戦闘現場を想定
■首相:「現場になる可能性ある」

 安倍首相は「自衛隊がかつての湾岸戦争やイラク戦争での戦闘に参加するようなことは、これからも決してない」と繰り返しています。これに対して笠井氏は、米国によるイラク侵略戦争の際に陸・海とともに航空自衛隊がイラクに派兵され、「後方支援」活動として米兵など多国籍軍関係者を輸送した事実を突きつけ、安倍首相をただしました。

 小野寺防衛相: 輸送した米兵は、イラク国内の復興支援や治安維持活動に従事していた。

 笠井: 銃火器を携行した武装米兵を輸送したのは事実だ。

 笠井氏は、米中央空軍のノース司令官が「10カ国の空軍が、(イラクでの)この戦闘を可能にしている」「(特に航空自衛隊の活動が)素早く戦闘に向かわせ、戦闘任務の用意を整えさせる」(米空軍386遠征航空団機関紙「ロック・スレイト」)と称賛していることを紹介しました。

 これまで政府は、自衛隊が行くのは「現に戦闘行為が行われておらず、活動の期間を通じて戦闘行為が行われることがない地域」(非戦闘地域)であるとし、だから攻撃は想定されないと説明してきました。

 笠井氏は「それでも(イラクでの)航空自衛隊の空輸活動は攻撃の危険にさらされ、戦場と紙一重の状況だった」と実態を示して告発。「閣議決定で『戦闘地域にはいかない』という担保を取り払えば、これまで『戦闘地域』といってきた場所にも行くことがあるのではないか」とただしました。

 笠井: 戦場で真っ先に狙われるのは「後方支援」だ。戦闘中の米軍を支援する自衛隊が、まず標的になり攻撃の対象になるのではないか。そういう危険があるのではないか。

 首相: 状況が悪化し、支援場所が戦闘現場になれば、支援を中止・中断する。

 笠井氏は「中止・中断をするが、『戦闘現場』に自衛隊が居合わせるということだ。その場で相手から攻撃されたらどうするのか」と迫りました。

 「速やかに引き揚げる」との答弁に終始する小野寺氏。笠井氏はさらに追及しました。

 笠井: 抵抗しない、反撃してこないとなれば余計、相手から集中的に攻撃されることになるのではないか。

 防衛相: さまざまな想定は考えすぎではないか。

 笠井: あなた方自身が想定しているのだ。「閣議決定」では、「戦闘現場」に自衛隊が居合わせることを想定しているのではないか。

 首相: そこが戦闘行為の現場になる可能性はある。

 自衛隊のいる場所が「戦闘現場」になることを認めた安倍首相。笠井氏は「結果として日本も、殺し殺される『戦闘に参加』することになるということだ」と強調。イラク戦争では、米軍が撤退した2011年末までに、主な直接戦闘国(米、英、スペイン)以外の20カ国は「後方支援」が中心でしたが、戦闘に巻き込まれて128人の兵士が犠牲になったことを指摘しました。

■笠井:米と敵地破壊の訓練
■防衛相:「自国防衛のため」と強弁

 安倍首相は、“自衛隊が参加しない”とする「戦闘」に、「敵を撃破するための大規模な空爆」や「敵地に攻め込んでいく行為」をあげています。しかし、笠井氏は、航空自衛隊が米軍などとともに、敵地攻撃、空爆を想定した共同演習・訓練を実施していることを明らかにしました。

 航空自衛隊は毎年、米空軍主導の「レッド・フラッグ・アラスカ」(RFA)と呼ばれる米アラスカ州での多国籍軍事演習に参加。今年は6月に実施され、日本はF15戦闘機など4機種、隊員310人が参加しています。

 笠井氏は「実際には航空自衛隊が米国などとともに敵地に攻め込み、敵の航空戦力を破壊・撃滅する訓練に参加している」と告発し、航空幕僚監部発行の部内月刊誌『飛行と安全』(2012年7月号)を示しました。

 同誌は、2009年10月実施のRFAに参加した小松基地(石川県小松市)所属のF15部隊幹部の体験記を掲載。体験記は「航空自衛隊のF15編隊は、B52の援護戦闘機として果敢に先陣を切って経路を啓開し(きりひらき)、粘り強く戦闘を継続」「退却時に他の編隊から支援を受けることができず、不必要な被撃墜を受け」と記されています。

 笠井: 航空自衛隊のF15部隊が米軍のB52戦略爆撃機の先陣を切ってエスコートして援護し、敵地に一体となって侵攻して敵の航空戦力を破壊する訓練を行っている。

 防衛相: 訓練は大変広い空域と地上が必要になる。日本国内にそのような場所はない。

 小野寺防衛相はまた、「他国への攻撃のための想定ではなく、あくまで自国の防衛のための技量の向上だ」と強弁しました。これに対し笠井氏は、歴代の日本政府がB52爆撃機について「性能上もっぱら他国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる兵器」(1982年3月20日の参院予算委で防衛庁長官)と説明してきたと反論しました。

 さらに笠井氏は、航空幕僚監部作成の「基本ドクトリン」(2011年3月)という部内の基本文書でRFAに関して「敵の航空戦力をその根拠地周辺で撃破する」と明記されていると指摘しました。

 笠井: すでに全隊員が準拠すべき事項に“敵地空爆”を位置付けている。自衛隊の最高指揮監督権を持つ総理は承知しているのか。

 防衛相: 多分、限られた文書であると思う。(笠井氏の「見ていないのか」の声)。よく、そういうところまでしっかり見ていただいているなと思っている。

 笠井氏は、基本文書も知らずに集団的自衛権を議論していることに「背筋が寒くなる」と批判しました。そして、「こうした米空軍との共同訓練も、時の政権が新『3要件』を満たしていると判断すれば、集団的自衛権の行使として大っぴらに実践に移せる」と述べ、憲法9条で「できない」としてきたことを「できる」とし、殺し殺される戦争で血を流すことになると強調。「こんな『海外で戦争する国』への大転換を、一内閣の憲法解釈で強行することは絶対に許されない」と述べ、閣議決定の撤回を求めました。

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