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【10.11.05】日ロ領土問題=国際的道理に立った交渉を

外務委員会で笠井議員が要求

 
 日本共産党の笠井亮議員は5日、衆院外務委員会で、ロシアのメドベージェフ大統領による千島列島の国後(くなしり)島訪問に強く抗議するとともに、日ロ領土問題の解決にむけ、「従来の政府の立場を根本的に見直し、歴史的事実と国際的道理に立った交渉をすべきだ」と主張しました。
笠井氏は、千島列島は、幕末から明治にかけて日ロ間の平和的な外交交渉で日本の領土と確定された事実を提示。ところが、第2次大戦終結時、スターリンが「領土不拡大」という戦後処理の大原則を踏みにじり、北海道の一部である歯舞(はぼまい)群島・色丹(しこたん)島とともに千島列島を一方的に編入して、領土問題が起こったものだと指摘しました。
 笠井氏は、日本共産党が1969年、全千島と歯舞、色丹両島の返還を求めたことを紹介し、「ソ連の大国主義的領土拡張の誤りをただし戦後処理の不公正を是正するところに、領土問題解決の根本がある」と主張。前原誠司外相は、歴史的事実について「同じ認識」と答えました。
 笠井氏は、領土交渉が半世紀以上も不毛な結果に終わっているのは、(1)51年のサンフランシスコ講和条約で千島列島を放棄した(2)同条約の枠内で解決しようと「国後、択捉(えとろふ)は千島に属さないから返せ」と主張した―二つの問題点があると指摘。「自民党政権時の領土交渉そのままを引き継ぐのでなく、根本的に再検討すべきだ」とただしました。
 前原外相は、サンフランシスコ講和条約で千島を放棄しているとして、国後、択捉両島は千島ではなく、歯舞、色丹両島とあわせ「北方四島」であるという従来の立場を「踏襲する」と述べるにとどまりました。(しんぶん赤旗/2010年11月6日より)
◆審議録(bt_20110920111604.pdf)

論戦ハイライト

笠井氏 「従来の方針転換を」
前原外相「政府の見解踏襲」
「政府は、歴史的事実と国際的な道理にたった交渉を行ってこなかった。政権交代したのだから根本的に見直すべきだ」―。5日の衆院外務委員会。日本共産党の笠井亮議員は、ロシアのメドベージェフ大統領による国後島訪問に関して日ロ領土問題を取り上げ、こう迫りました。
 質疑で明らかになった歴史的事実と解決の道は―。
 笠井氏はロシア大統領の訪問について、日本共産党の志位和夫委員長の抗議談話を紹介し、「単なる『国内視察』でなく、不当に併合した日本の領土をこれからも占領し続け、領有を固定化しようとする新たな意思表示だ。領土問題の公正な解決に反するものだ」と批判、歴史的な経過をただしました。
 ―千島列島は、1855年の「日魯通好条約」、1875年の「樺太・千島交換条約」を経て、全千島が日本の領土と確定した。
 ―第2次大戦終結時、ソ連が、「領土不拡大」という戦後処理の大原則を踏みにじり、対日参戦の条件として千島の「引き渡し」を米英に認めさせ、千島と北海道の一部である歯舞群島、色丹島まで領土に一方的に編入した。

 笠井議員 ソ連の大国主義的領土拡張の誤りをただし、戦後処理の不公正を是正するところに領土問題解決の根本がある。
 前原外相 歴史的事実はおっしゃる通り。
 笠井氏は、日本共産党が1969年に政策を発表して以来、全千島列島と歯舞群島、色丹島の返還を求めてきたことを明らかにし、「領土交渉は、56年の日ソ共同宣言以来、半世紀を超える努力にもかかわらず不毛な結果に終わっている」として、歴代自民党政権に問題が二つあると指摘しました。
 (1)51年にサンフランシスコ条約第2条C項で千島を放棄した(2)同条約の枠内で解決しようとして「国後、択捉は千島に属さない」と主張してきた。
 笠井 条約で国後、択捉は南千島といい、後になって千島に属さないので返せ、という主張は国際的に通用する道理を持たない。千島放棄条項にしばられる限り、国後、択捉を含む4島返還はあり得ない。従来の立場を大本から見直すべきだ。
 前原 歴史的な経過は一つだが、見直す見直さない、という話ではない。北方四島は日本の固有の領土だ。
 笠井氏は、51年9月、サンフランシスコ会議で交渉当事者の吉田茂首相、ダレス米代表(ともに当時)も、国後、択捉両島が千島に属していると発言し、同年11月の条約批准をめぐる国会審議で、外務省条約局長が、千島に歯舞、色丹は含まれず、国後、択捉は千島としてみていくべきだと答弁している事実を示しました。
 笠井 それなのに道理にたった交渉を行ってこなかった結果が日本側の一方的譲歩、今回の大統領訪問となった。政府が言っていたことを踏襲するのではなく、根本的に再検討する用意はないのか。
 前原 (吉田首相とダレス代表の発言は)間違いない。条約局長は北千島と南千島は歴史的にまったく違うとも言っている。どちらともとれるので56年に政府の統一見解が出た。国後、択捉は放棄した千島に含まれないとした政府の統一見解を踏襲する。
 吉田・ダレス両氏の発言を認めながら「国後・択捉は千島でない」と矛盾する発言をする前原氏に、笠井氏は、「ロシアが現状固定化をめざして、新たな強硬措置に出ようとしている今、半世紀に及ぶ領土交渉の総括を踏まえ、歴史的事実と国際的道理に立った本格的な領土交渉に踏み出すことを求める」と迫りました。

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