アフガン国軍へ12億円の拠出は九条の立場から許されない
衆院本会議で25日、2009年度第2次補正予算案が採決され、民主、社民、国民新、公明、みんなの各党の賛成多数で可決、参院に送付されました。日本共産党は反対しました。
反対討論に立った日本共産党の笠井亮議員は「自民・公明政権による大企業や軍事優先の予算を抜本的に見直し、国民生活に振り向けることこそが求められている」と強調。しかし補正予算案は「1次補正予算しか見直しの対象とせず、当初予算に切り込む姿勢が見られない」と指摘しました。
笠井氏は補正予算案で執行する緊急経済対策について、雇用・中小企業対策などで「国民の要求が一定、反映されている」としつつも、「全体としては自公政権が講じてきた対策の延長線上」だと指摘しました。
「看過できないこと」として、アフガニスタン国軍への拠出金約12億円が盛り込まれていることを指摘。「他国の軍隊への財政支援は、憲法9条を持つ日本として許されない」と批判しました。
また、後期高齢者医療制度について、民主党の総選挙公約だった廃止を先送りするだけでなく、今年4月から全国平均で14%引き上げられる保険料の軽減策を予算措置していないことを取り上げ、「二重の後退だ」と強調しました。
笠井議員の反対討論
はじめに、今回の予算委員会で最大の焦点の一つとなった、「政治とカネ」の問題についてであります。
とりわけ、小沢一郎・民主党幹事長の土地購入をめぐる疑惑についていえば、一昨日の東京地検による事情聴取後の会見を聞いても、その説明は二転三転し、疑惑は深まるばかりです。国民の政治に対する不信は、いっそう高まっています。
ところが総理は、「小沢幹事長を信じる」という答弁を繰り返すだけで、自ら率先して疑惑の解明にのりだす姿勢を示しておりません。
4億円の土地購入資金の原資の一部が、ゼネコンからのヤミ献金だったのではないか、公共事業の受注を通じて国民の税金が還流しているのではないかという問題の核心を解明することが必要です。
疑惑の全容を解明し、その政治的・道義的責任を明らかにすることは、国会の責務であります。小沢幹事長を参考人として招致し、集中審議を速やかにおこなうよう強く要求するものです。
いま、国民の「政治を変えたい」との願いにこたえ、これまでの自民・公明政権による大企業や軍事優先の予算を抜本的に見直し、国民生活に振り向けることこそが求められています。
ところが、本補正予算案は、旧政権が編成した第1次補正予算しか見直しの対象とせず、当初予算に切り込む姿勢がみられません。
しかも、1次補正の執行停止については、国民の批判が強かった一回限りの子育て応援特別手当やアニメの殿堂などの事業費を削減したのは当然ですが、公共事業費は、高速道路・港湾などの大型事業を大幅に削減しているものの、中途半端に事業継続の余地を残すなど、問題点と不十分さを指摘せざるをえません。
実施する緊急対策については、雇用調整助成金の要件緩和、雇用保険への国庫負担の3500億円の追加、中小企業に対する緊急保証制度の全業種への拡大と保証枠の追加、セーフティーネット貸し付けの拡充など、国民の要求が一定、反映されています。
しかし、1次補正で拡充した大企業の資金繰り支援策や出資制度は、継続しようとしているのであります。
全体としては、自公政権がこれまで講じてきた対策の延長線上のものといわざるをえません。
看過できないことは、新たに、アフガニスタン支援経費のなかにNATOのアフガニスタン国軍信託基金への約12億円の拠出金を盛り込んでいることです。
医療分野を名目に、同基金への拠出を通じてアフガニスタン国軍を支援するとしていますが、他国の軍隊への財政支援は、憲法9条をもつ日本として許されません。
後期高齢者医療制度への対応も重大です。そもそも先の総選挙で民主党が公約していた、後期高齢者医療制度の廃止を先送りすること自体、国民との約束をたがえるものにほかなりません。
加えて、国の責任で保険料の負担増を軽減すると明言していたのに、今年4月から全国平均で約14%引き上げられることに伴う負担軽減の予算措置は、本補正予算案にも来年度予算案にも盛り込まれておりません。まさに、二重の後退だといわなければなりません。
最後に、昨日の名護市長選挙では、辺野古への新基地建設反対を公約した市長が誕生しました。民意は明確です。
鳩山内閣は、普天間基地の即時閉鎖・無条件撤去を決断し、米国と正面から交渉すべきことを強く主張し、私の反対討論を終わります。