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【09.05.27】都市農業の振興と農地保全を―衆院外務委で関係省庁ただす

 質問する笠井議員
 都市農業の振興と都市農地の保全について、衆院外務委員会で都市計画法改定の動きも示しながら関係省庁をただしました。「都市計画制度にどう位置づけるか検討をすすめたい」「(いわゆる線引き制度も)検討のそ上のひとつ」(国交省)、「(農業用施設用地や屋敷林なども視野に入れた保全について)総合的観点から検討したい」(農水省)などこの間の施策の転換につながる重要な答弁がされました。

 この日の外務委員会ではベトナムやスイスとの経済連携協定が議題となりました。笠井議員は協定がわが国の農業や食料、中小企業などに対してマイナスの影響を与える懸念があることを指摘した上で、いま世界では「食料主権」を保障する貿易ルールの確立を求める流れが急速に広がっているとして、国内農業の再生、とくに都市農業の振興について関係省庁をただしました。
多面的な機能もつ都市農地
 都市農業は食料の生産とともに、環境や防災、市民の交流、教育など多面的な機能を果たし、都市住民の中でも「守りたい」「残したい」との声が強まっています。ところが固定資産税や相続税の重い負担などの中で農地は減り続け存続の危機に瀕しています。東京では市街化区域内農地は1992年から2005年の13年間で31%も減少し、農業の中心的な担い手も65歳以上の人の割合は91年の33.4%から05年には52.7%になっています。
笠井議員はこの間、都内の農家や東京都農業会議を訪ね実情を聞き、党都委員会も約300軒の農家を訪問し意見などを聞いてきたとのべ、東京では「江戸開府以来」という歴史を持つ農家も少なくなく、苦しい中でも意欲と誇りをもって頑張っているとして、「もっと国の政治で大事にしないと駄目」「先祖代々受け継いできた農地を守っていきたい」など農業従事者の声を紹介しました。
都市農地の積極的な機能の保全を
その上で、現在、都市計画法の見直しが国交省の社会資本整備審議会の小委員会で検討され、5月19日に出された「報告素案」では、「都市と農地を対立する構図で捉える視点から脱却し、都市近郊や都市内の農地について、新鮮で安心な地産地消の農作物を提供してくれる農業生産機能を中心に、自然とのふれあい、憩いの場、防災機能等の農地の多面的機能を、都市が将来にわたり持続していくために有用なものとして、都市政策の面から積極的に評価し、農地を含めた都市環境のあり方をより広い視点で検討していくべきである」としていることを示しながら、これはこれまでの経過からみると大転換で、都市計画法の改定作業の中で都市農地を積極的に位置づけ保全するよう求めました。
 国土交通省の石井喜三郎大臣官房審議官は、都市からみた農のニーズの高まりや都市の農地について生産機能だけでなく多面的な機能を重視していくことなど「都市サイドから積極的に位置づけるべきという議論がなされて」いることを認め、「多面的な機能を有する都市の農地のあり方について都市計画制度にどう位置づけるか、農水省をはじめとする農業政策や税制等とも提携して検討をすすめたい」とのべました。また、笠井議員が「市街化区域」などのいわゆる線引き制度について、「見直しも検討しているか」ただしたのに対し、「検討の俎上のひとつには入ってくる、視野の中には入る」とのべました。
農業用施設用地や屋敷林なども保全の対象に
さらに笠井議員は、都市農地の保全をめぐって、農地が生産緑地に指定されていても、農業用施設用地や屋敷林などの相続税が高額で農地を売却せざるをえない場合も少なくないことを指摘し、「農地の保全を図るためには農業用施設用地や屋敷林なども視野に入れて考える必要がある」と指摘、農水省の飯高悟農村政策部長は「都市計画の見直しが行われる中で、国交省などとも連携し総合的観点から検討したい」と答えました。また笠井議員が都市計画制度の見直しなどをめぐる動きについて農水省側の見解をただしたのに対し、飯村農村政策部長は「小委員会での議論は読ませていただいたが、人口減少過程の中で都市農業の持つ他面的な機能というのは重要であると思っております」とのべ、「農地を農地として農業をやる、そういう中で振興をはかっていくというのが大前提」で「関係省庁と十分連携を図りながら対応してまいりたい」と答えました。
外相=「農業強化は国際的交渉力を高める」
こうした議論をふまえ笠井議員が農業振興や食料自給率の向上は外交の角度からも重要な問題として、農業再生、とくに都市農業の振興の意義について所見をただしたのに対し中曽根弘文外相は「都市農業の機能を有効に生かしながら守っていかなければならない、国際的な交渉力を高めるためにも農業を強化することは大事」と答弁しました。
 さいごに笠井議員は、政府として都市農業関係者、自治体の意見もしっかり聞き、計画や取り組みに反映させるよう求めました。
 委員会室では全国と東京の農民連関係者、この間都内で農家訪問の先頭に立ってきた、とくとめ道信、池田真理子両比例東京ブロック候補、吉岡正史東京22区予定候補らが質問を傍聴しました。(写真は衆院TVのインターネット中継から)
◆審議録(PDF/bt_20090812145143.pdf

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