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【08.04.03】米軍「思いやり」を延長 衆院本会議で反対討論

自民・公明の賛成で新協定可決

 
 在日米軍への「思いやり予算」に関する現行の日米特別協定を三年間延長する新協定が三日の衆院本会議で、自民、公明の与党の賛成多数で可決されました。日本共産党、民主党、社民党、国民新党は反対しました。
 新協定で日本側が負担するのは▽基地従業員の労務費▽基地内の光熱水料▽米軍の訓練移転費―です。今後三年間で現状より、わずか八億円削減するだけの内容です。政府が、特別協定による「思いやり予算」の支出を強行した八七年度以来、五回目の延長になります。
 採決に先だち反対討論に立った日本共産党の笠井亮議員は、この特別協定が、在日米軍の維持経費について米側が負担すると定めた日米地位協定の原則に真っ向から反すると強調。政府が、国民生活予算を削り、四月から後期高齢者医療制度まで強行していることを告発し、「『思いやる相手が間違っている』という国民の声を、重く受け止めるべきだ」と批判しました。最後に笠井氏は、政府が拡大しようとしている在日米軍再編の経費負担の中止も強く求めました。
笠井議員の反対討論(要旨)
 反対理由の第一は、本特別協定が、日米地位協定第二四条の原則に真っ向から反するものだからです。
義務規定なし
 そもそも、地位協定第二四条は、米軍の維持経費は「日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」と規定しています。わが国に負担義務は一切ありません。にもかかわらず政府は、一九七八年、米側の要求に応え、「思いやり」と称して駐留経費の一部負担を始め、八七年からは本特別協定を締結し、地位協定からは、まったく説明のつかない経費を負担してきたのです。
 「暫定的、限定的、特例的」といいながら、従業員手当、給与本体、光熱水料、訓練移転費へと次々と内容を拡大し、三十年にわたり負担を続けて、沖縄でも本土でも米軍基地とその機能強化を支えてきたのです。これらの総額は、五兆円を超え、米軍人・軍属の給与以外のほとんどが日本側負担になっています。まさに至れり尽くせりであり、このような国は世界のどこにもありません。
 政府は、「駐留経費負担は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用に重要な役割を果たしている」と説明しますが、これでは、日米安保条約が存続する限り特別協定は続けていくことになるではありませんか。福田総理は、昨年十一月の日米首脳会談で、「同盟へのコミットメントはゆるぎない」「しっかりと交渉させ早期にまとめたい」と表明するだけでした。
 地位協定第二四条の原則を踏みにじる特別協定の継続は、断じて容認できません。
 第二に、本特別協定を含め、駐留経費の負担を続ける理由は、当初の政府の説明からしても成り立ちません。
国民には負担
 昨年十一月、政府の財政制度等審議会でさえ、「日米両国を取り巻く社会・経済財政情勢は大きく変わってきて」いるとして、駐留経費の「従来どおりの負担の継続は適当ではない」と指摘しています。政府は、一方では、巨額の財政赤字を理由に、国民生活予算を次々に削り、四月からは後期高齢者医療制度を強行し、新たな負担を押しつけているのです。
 にもかかわらず、米軍には、従来どおり「思いやり予算」を続けるなど到底認められるものではありません。「思いやる相手が間違っている」という国民の声を政府は重く受け止めるべきです。
米兵犯罪多発
 しかも、横須賀のタクシー運転手殺害事件、沖縄の少女暴行事件など、米軍人による犯罪が頻発しています。基地ある限り、米軍犯罪はなくなりません。「綱紀粛正」では、何の解決にもなりません。まして、こんな米軍基地を支える「思いやり予算」を継続するなど、断じて許されません。
 さらに重大なことは、政府が、「米軍再編」の名の下に、米領土グアムでの米軍基地建設にまで負担を拡大しようとしていることです。米軍再編「ロードマップ」の日米合意から二年、いまだに再編計画の全容も負担総額も国民に明らかにしないまま、三兆円とも言われる再編経費を負担するなど、もってのほかと言わなければなりません。
 こうした一連の米軍経費負担は、米戦略に基づく新たな拠点づくりをすすめ、日米軍事同盟を地球的規模に拡大するものにほかなりません。絶対に容認できません。
 最後に、「思いやり予算」と本特別協定はきっぱりと廃止し、米軍再編経費負担をただちにやめることを強く主張し、反対討論を終わります。
(2008年4月4日/しんぶん赤旗より)

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