朝鮮王室儀軌返還について意見交換
韓国訪問中の笠井議員
韓国訪問中の日本共産党の緒方靖夫副委員長(国際局長)と笠井亮衆院議員は十六日、ソウルの外交通商省で趙重杓(チョ・ジュンピョ)外交通商省第一次官と懇談し、朝鮮王朝(李朝、一三九二―一九一〇年)時代の文化財である「朝鮮王室儀軌」の返還問題について意見を交換しました。懇談には、李明博(イ・ミョンバク)次期大統領の朱豪英(チュ・ホヨン)スポークスマン(ハンナラ党国会議員)、民間団体「朝鮮王室儀軌還収委員会」共同議長の正念(チョンニョム)月精寺住職らが同席しました。
趙次官は、「外交通商相の代理としてお迎えする」と述べ、日本の宮内庁に保管されている儀軌を韓国に返還するために緒方、笠井両氏が日本で努力していることに感謝の意を表明。この問題は、八日の日韓次官級戦略対話で「両国間で検討課題として取り組むことになった」と説明しました。
緒方氏は参院議員だった昨年五月に外交防衛委員会で儀軌の返還を日本政府に求めたことを紹介。「文化財は元来あった場所に戻すことが原則」だと述べました。
笠井氏は「半年間ともに取り組んできたが、この問題が日韓の外交課題になってきたもとで、国会の場でもいっそう努力したい」と語りました。
朱議員は「自国にある文化財を他国に返すように求めるという勇気のある活動に敬意を表する」と述べ、「儀軌が韓国に返還されることで韓日間の友好発展の契機になることを期待している」と語りました。
正念住職は「還収委員会や両国政府、国会議員の努力で近いうちに良い結果が出ることを願っている」と述べました。
緒方、笠井両氏は同日、兪弘濬(ユ・ホンジュン)文化財庁長が両氏を歓迎するために主催した夕食会に出席し、兪庁長はじめ文化財庁関係者と懇談しました。
朝鮮王室儀軌
朝鮮王朝時代に、国家や王室の重要な行事の内容を絵と文章で記録した書物。日本が朝鮮半島から植民地支配時期(一九一〇―四五年)に多数、持ち出しました。宮内庁にあるのは、明成皇后(閔妃=びんひ)の国葬を記録したものなど。ユネスコ(国連教育科学文化機関)が「世界の記憶」遺産に指定しています。
(しんぶん赤旗/2008年1月17日)